ロンググッドバイ
私立探偵呼人の事件簿
2002.5月号
○月×日
『Beautiful days』
『グロリア』を作った後、僕のモードは一気に“ポップモード”に。
しかし、この曲は原型はなんとリトルモンスターズファミリーの頃に作った。という事は結構前だぞ(笑)!
しかも『星がきれい』の前に、この曲のサビを歌って3人でデモテープを作った記憶もある。
そして、曲作りの時にまたまた思い出して、引っ張りだして、サビ以外を作ってデモを作ったのだ。
イントロのイメージは84年頃の松田聖子!!『ロックンルージュ』あたり!
“ザ・ベストテン”あたりでスクールメイツバックに聖子ちゃんが出てきてイントロ、ドン!みたいな(笑)。かなり時代と逆行してるかもしれないが、僕の中では「オイシイ!」って感じでかなり盛り上がった(笑)。そうして、残りの部分もアッという間に作った。
レコーディングメンバーはドラムが松永さん、ベースがミックさん、ギターが鈴木俊介さん、キーボードが中西さん、ブラスが山本拓夫さん。歌詞もサビの部分「誰が生まれ〜」のあたりはリトモンの頃と一緒。
そういう意味じゃ、今回のアルバムはストックの中から掘り起こしたものが多い。でもロックンロール探求時期だったにもかかわらず、ポップなものも作っていたんだなーと再確認。この曲のレコーディングセッションで『あとどれくらい?』や『君が輝き続けるように』をレコーディングして、僕がソロになって「何の為にバンドを離れて、何をやりたかったのか」っていう答えがやっと出せた気がしている。
○月×日
ちょっとブレイク
ここで、チャボさんと矢野顕子さんからのお手紙を紹介させてもらうぜ、ベイベー(取り乱し中!)
寺岡呼人くんのニュー・アルバム“cosmos”をたった今聞き終えて....すぐに浮かんだイメージ....それは何故か....“遊園地”。例えばこんな物語....遊園地....。寺岡君は今、“地球”という名の遊園地にいる。そこで“人生”という乗り物に色々乗り降りしている。
....ほら、観覧車だったり、ジェット・コースターだったり、....のんびり、ゆったり足元に広がる景色をある時はながめたり、スリルいっぱいにある時はぶっとばしてみたりってな....。
そんで、そう今日は彼女とのデートの日、楽しい一日。でもあまりにも混んでいて二人はいつのまにかはぐれてしまう.....。
で、でも大丈夫、二人は“今夜の出口”できっとちゃんと会えることになる....。そ、そんな物語のイメージ。
....“cosmos”の唄達。......カラフルでドリーミーにあり続ける....遊園地....。だ、だけども閉園近い夕暮れ時の、そして休みの日の人気のない遊園地の“さみしさ”なんてことに気づいたのは、はたして僕等が大人になってしまったからなのだろうか.....。
....と、ところで大人っていったいな、なんなんだ?....たとえ子供の頃と全く同じ気持ちにはなりえないとしても、僕等は今だってたまには遊園地なんかで、とびきりドリーミーなひとときを過ごしてみたいなんて思ったりもするさ。だいいちそれくらいの想いでもなければ、そんな想いをなくしたならば、人生なんてあまりにも味気なさすぎるじゃないか....。あり過ぎるほどの現実の危機感。それは個人単位にせよ、社会、世界、地球単位にせよのしかかる現実....。
だ、だからこそ、ドリーミーな遊園地が消えてしまわぬうちに僕等はある晴れた日にでも、出かけようとするのかも知れない。
そして、そう、こんなスピリットのことをきっと“ロックン・ロール”と名付けたんだ。な、そ、そうだろう?寺岡くん!
ティーンエイジャーの頃のように、あるひとつのパッションめいた気分だけでぶっとぶことができた、ぶっとぶ事で済んだロックン・ロールだけではない、何か別の価値といったものを君はきっともう認識しているはずだもの....そんなロックン・ロールのスピリットといったものを......。
“ゴールデン・サークル・オブ・フレンド”、そんな君の呼びかけに集まった友達、いや、彼等はもしかしたら新しい兄弟達なのかもね....。
そう、大丈夫、“ゆず”くん達のように、きっとさみしさなんて事をふきとばしてしまうことに気づいているであろう弟達がいるんだから......。
そう、大丈夫、“友部正人”のようにさみしさなんて知りつくしているくせに、それでもあんなふうに唄いかけてくれる兄貴がいるのだから...。
そ、そして君の呼びかけに集まったハートフルなbrother&sister達。
そ、そうだった、いつかの夏に、僕も声をかけてもらったこと忘れないよ....うん、熱い夜だったね.....。
“cosmos”....、さあもう“カオス”ではない、ドリーミーなはずのこの星、地球の未来ってやつを世界中が今こそ探す時なんだ....。
こ、こんなのってロマンティックすぎるか?ハ・ハ・ハ、いいんだよ、いいんだ。
だ、だってロック&ロールってのは、とびきりにロマンティックなもののはずなのだから....な、そうだろ?
P.S. 寺岡くんの唄の、なにかの唄のにある....“宇宙の果てで君をみつける”....っての....うん、いい話だな....なあ、そこはもしかして遊園地みたいなとこかな....。でーっかいオペラ・グラスでのぞいてみたいな、そんな遙かな“ドリーム・ランド”みたいなとこを探してさ....。
Yeh! Hey! 寺岡!
Keep on R&R ,yeh,yeh!だぜィ!
02.5. 仲井戸“CHABO”麗市
寺岡さんはあまり背が高くない。
彼の作る音と詞は等身大である。
あまり背が高い人と会話をしていると首が痛くなるのだが、
そういうことは彼に関しては起こらない。
いっしょに歌ったことのある矢野顕子はしあわせものである。
矢野顕子
チャボさんのお手紙に20年前のガキんチョの僕、毎日毎日殆どが音楽に満たされていた頃の僕、初めて聴くロックンロールの数々に打ちのめされた頃の僕が蘇ってきて、チョット目がウルウルしてしまった。この幸せを大事にして僕もロックンロールの旅を続けないと!
そして矢野さん、ニューヨークからありがとうございます!
そして、あの緊張が蘇ってきました(笑)。
○月×日
『Harlem Devil City』
この曲、実は最初に作ったのは5年ぐらい前、小林君と一時期ライブをやった事があって、バンド名が『ハテナーズ』っていうんだけど(笑)、山川ノリオ君や、今ゆずでキーボードを弾いてるミキオ君がいた。その時にできたのは他に『God Bless You』があるんだけど、この曲もデモテープ作ってスタジオに持ってった。しかし、小林君が「難しい!」と言ってお蔵入りに(笑)。
そして、存在も暫く忘れていたんだけど、急に今回のセッションで思い出した。きっとそれは『カリフォルニアガール』とかを作った影響もあるだろうな。テーマはバディーホリー・ミーツ・ボブディランだし(笑)。特にバディーホリーのムードを出すには古い機材があるスタジオが絶対条件だと思い、恵比寿の、その名も“1970”という70年代の機材だらけのスタジオでレコーディングした。
メンバーは、ドラム、ベースが小田原さん、ミックさん、僕でベーシックを録った後、上杉さんがピアノをダビングしてくれ、その日のうちにミックスダウンした。終わったのは確か午前5時あたりだったような....。あの激シブのギターソロは僕チャン(笑)。しぶーっ!
テーマはないけど『フロム・ダスク・ティル・ドーン』とか『マッドマックス』とか『バットマン』のようなあるようでないような世界を描いてみたかった。いずれにしても良かった。思い出して!50年前の一番ヒップなサウンド、これでみんな踊ってたんだぜ!
ちなみに前日一緒に花見をしていた石田君を誘ってコーラスしてもらってる。
○月×日
『さよならアンナ』
『さよならアンナ』の曲を作ったのはやはり、『Beautiful Days』の頃だったハズ。
それからしばらく存在を忘れていて、アルバムセッションの時はもう候補に入れてなかった。
それをスタッフが「堂島さんに詞を書いてもらうのはどうですか?」という案を出してきて「あ、そういう曲もあったなー」という感じだったけど、でもあの曲の持つ70年代、ティンパンアレイ的なサウンドが堂島君っぽいかも、と思いお願いした。
そうして送ってきてくれたのが『さよならアンナ』。
その紙にはメモが書いてあって、「アンナでもアンジェリーナでも名前は何でもいいです」とか(笑)、「イントロに空港の雑音を入れたらいいと思います」とか、「タイトルも『さよならエアポート』でも、何でもいいですよ」とか、だ。
とにかく、届いた詞に僕の目のウロコはポロポロ落ちた(笑)。
ともすれば、詞に対して“入り”過ぎる所も、距離が近すぎる所もあった僕だけど、「ああ、詞ってこういう距離感もあるんだ」って事にも気づいたし、ちゃんとそういう曲の背景をわかってる堂島君だからこそ書ける“わかった”詞で、僕が歌っても何の違和感もなかったのも当然だった。
70年代や、80年代って海外旅行も、サーフィンもスキーも庶民には高嶺の花の娯楽だった。今はどれもみんな手に入るけど、そういう文化の香りも感じるし、あの頃が青春だった人は「わかる、わかる!」ってなってくれると思う。忙しい中、ありがとう!堂島君!
そして、レコーディングメンバーはまず、何とそのティンパンアレイやキャラメルママのドラマー、林立夫さんだ!
もう随分前に引退されたと聞いていて、伝説のドラマーだったんだけど、数年前から少しずつセッションを始めたのを知っていて、お願いしてみた。そして同じくティンパンアレイやキャラメルママのギタリスト、鈴木茂さん。そして、同じく70年代、80年代のユーミンを始め、色んなポップミュージックで聞き親しんだベースを弾いていた高水健司さん。そして、中西さんという夢のようなメンツ!
意外だったのは林さんがドラミングは渋いんだけど、攻撃的だったって事。テイクごとに違うパターンで叩くし、色んなアイデアを言ってくれた。このメンバーでのセッションは他に『COSMOS』があるけど、もうとにかく最高だったし、夢のような時間だった。
そして後日、山本拓夫さんにブラス、三沢またろうさんにパーカッションを入れてもらった。
そして、アドバンテージ・ルーシーのアイコちゃんがコーラスに来てくれた。これがシュガーベイブでいうところの大貫妙子さんみたいで、またまたハマッていた!当日殆どぶっつけ状態だったり、レコーディングの日を変更したり、迷惑をかけてしまいました...。ごめんね、アイコちゃん!
この曲は『COSMOS』の中でもとてもいいポジションにいると思う。
○月×日
『カリフォルニアガール』
この曲は友部さんのイベントという詩の朗読会の為に書いた曲。
GCが終わって1週間後だったけど、がんばって詩を書いて「1曲だけ歌ってもいい」っ て事だったので、曲を作ってみたのだった。
しかし、『NO MADIA』は小学生の時全校生徒の前でやった“とんちの彦一”以来、緊 張した。あの時「2度と人前で何かをするのはやめよう」と誓ったのだが(笑)、 “語り”で人前に出た事ないなー、って事にステージに上がって気づいた僕。
でも、そのイベントがあったからこそ『カリフォルニアガール』は生まれた。
何だかとっても“乾いた”感じにしたくて、曲を聴いたらどうしても西海岸の方向へ 行ってしまう(笑)。
『パリ・テキサス』や『バクダッド・カフェ』とかの湿度の感じ....。
レコーディングは、中西さんからもらったFOSTEXというメーカーのB16という、15年 ぐらい前(20年ぐらい前?)のアナログレコーダーに録った。そしてその後、ライク ーダーみたいなエレキがヴェンダースっぽいかなーと思い、エレキをダビングした。
ホントに一人で下手なハーモニカやギターを何度も取り直して、宅録(自宅録音 ....昔はみんな一人で家で多重録音していた)気分だった!
GCで『アイラブユー』『over the futuer』『Theme of Golden Circle』が生まれ、 『NO MADIA』で『カリフォルニアガール』が生まれ、人との繋がりがこうやってアル バムに結びついていくっていうのはとても美しいと思う。
○月×日
『グロリア』
僕の中で『グロリア』が、いわゆる“呼人ロックンロール探求”の頂点だった。
「ビルージョエルのような曲をパンクバンドが演奏したら切なくなるんじゃないか」という所から始まったこの曲のアイデア。つい何日か前にも北川君が「アルバム聴きました。やっぱ『グロリア』好きです!」って言ってくれた。
激しいんだけど、キュンとくるハーモニー、強がってるのに、子供みたいな弱さ、格好悪さ、そんなムードにしたかった。
しかも、これは“ソロならではのバンドサウンド”でしか出せない音にしたかった。常々言ってるんだけど「バンドをやってる人はソロの人に“バンドっていいな”って嫉妬させないと負けだし、ソロの人はバンドをやってる人達に“ソロっていいなー”って思わせないといけない」。
結果的に『グロリア』は激しいんだけど、洗練された、ゴージャスなんだけど、荒っぽい“寺岡呼人サウンド”に昇華してったと思う。
ドラムが佐野さん、ベースが松原さん、ピアノが中西さん、ギターソロはプレクトラムの藤田君。この曲の重要なポイントであるストリングスを村山さんが担当してくれた。パンクなのに都会的なコード、ドラマティックなストリングス、『グロリア』はこうして出来上がった。
最初にも書いたけど、やっとこのアルバムあたりから僕のスタイルは確立されつつある。
自分で言うのもなんだけど、この年齢になって“懐メロ”じゃなくて、少しずつだけど“スタンダード”を作れているのは凄い事だと思うし、ついてると思う。もっともっと進化していって、また新しい“呼人ロックンロール探求”ができたら、と思う。
○月×日
『あとどれくらい?』
何年かに1度、詞と曲が一緒に出てくる事がある。ジュンスカ時代で言えば『パレード』や『I want you』、最近では『Brand new generation』『JET MOBILE 2000』などがそう。そういう曲っていつまでたっても飽きない。逆に何度も歌詞を書き直したり、構成やメロディーを変えたりした曲は思い入れが少なくなっていく。永ちゃんの名言「名曲は10分でできる」というのはまんざらでもなさそうだ。
『あとどれくらい?』も詞と曲が一緒に出てきた曲。
絶対に人には「死」という別れが訪れてくる。そこから考えるとすべての事は数が限られてくるんだ...。と思い、好きな人とのキスやケンカや仲直りの数はどれぐらいなんだろう?とふと考え、よひ版『関白宣言』だ!と思い(笑)、一気に書き上げた。
この曲をGCで矢野顕子さんと一緒に歌った時に、矢野さんの声とメロディー、雰囲気も含めて、矢野さんに“スタンダード”な曲にしてもらった気がする。実際矢野さんの曲....GCでも歌った『毎日僕を愛して』も僕の中でずっと意識してた曲だったので、少なからずインスピレーションされたし、偶然とは思いたくない出会いだった。あの夜は!あの日の『あとどれくらい?』はまわりでも評判良かったしね。
レコーディングメンバーはドラムが松永さん、ベースが松原秀樹さん、エレピが森俊之さん、ギターが鈴木さん。二子玉川にあるスタジオで初めてレコーディングして、『Beautiful Days』セッションの時に結構詰め込んで録ったのを覚えている。
そしてカッコイイブラスを山本拓夫さんが入れてくれた。
つまるところ、僕は常にスタンダードなもの、シンプルなもの、が好きなんだな。
○月×日
『アイラブユー』
僕は凄い強運だとは思っていないが、いつもギリギリの所で何かに助けられてる気がする。
今回もアルバムを出したいとは思っていながら「シングルはどうしよう...」という一抹の不安もあった。しかも2月にはGCが!
「作る時間がなーい!」と思っていた。しかも、今回のステージではみんなと共作して歌おうと思っていたので、その曲も作らねば!というプレッシャーもあり、結構パニクっていた。作ろうとしてたのはロックンロールなので、レコーディングはしないだろうと思ってたから、その時点ではシングル候補はゼロだった。そんな時(そんなときぃー!)、パニクった時(パニクったときぃー!)←(こういうお笑いいるよね?)、オレがする事は.......何も考えないようにする(笑)。「ま、なるようにしかならない」と思い、逆に肝が座る(と思っている)。
しかし、今まで「この曲にするんじゃなかった」って思う曲はシングルにした事ないし、「どーなるんだろう?」という気持ちもあった。が、レコーディングやらGCの準備やらで、そんな事をゆっくり考えてるどころではなかった。(パニクってんじゃねーか!(笑))
そんな時に後に『Over the futuer!』となる曲の原型をスナッパーズの藤崎君に渡した所、返ってきた詞が曲に似合わずいい詞で、しかもタイトルが今時“アイラブユー”!「何かこれはもったいないなー」と思い、その場でサビのメロディーを作ってみて出来上がったのが『アイラブユー』だった。
偶然の産物とはいえ、この曲ができたことで「レコーディングもしてみようか」って事にもなり、「もしかして友部さんも参加してくれるかなー」という希望も出てきた。GCの2日目に出てくれるみんなに参加してもらえるかも、というのもこの曲のお陰だった。
で、スタッフとも話してこの曲がシングルとなった訳だから「ついてるなー」という事になる(笑)。
この曲のバックトラックは基本すべて僕が弾いた。
そして、ギターソロをバンジージャンプフェスティバルの町田君が弾きにきてくれた。
歌入れは1日でゆずとスナッパーズのパートは全部録って、後日友部さんに来てもらい、歌ってもらった。友部さんの歌入れの時はもう「魔法!」と言ってもおかしくないほどの瞬間だった。「一回やってみるね」と言って友部さんが歌い出した瞬間、僕は体中に鳥肌が立って、涙じゃないけど目が潤んでしまった。
もう「凄く良かったです」としか言葉が見つからず、「もうバッチシです」とテイクワンでオッケーという事を友部さんに伝えるのがやっとだった(笑)。「もういいの?」と友部さんは言っていたけど、僕が作った反復だけのオケがあんな風に変身するなんて、こんなに長くレコーディング生活をしていてもなかなか経験でる事じゃなかった。本当に素敵な、幸せな瞬間だった。
あと、岩沢君も後日歌い直しに一人で来てくれたりして、みんなの協力があってこその『アイラブユー』なのだ。
○月×日
『Summer Breeze』
2曲目にして早くも後悔(笑)。まだまだあんじゃん!
『Summer Breeze』は結構前に書いた曲。多分『Beautiful Days』の頃に書いて、今回のレコーディングで過去のファイルを探していたら出てきて「やろうかなー」と思い、『アイラブユー』のカップリング『光』の時に一緒にレコーディングした。
なので、この曲も小田原、ミックさん(美久月さん)、中西さん、エーンドよひのゴールデン(?)トリオ。
あまり覚えてないけど、この曲はイントロからできたような気がする。夏の気持ちいい風のようなイメージでイントロができて、そのまま作っていったような...。かなり初期の作品なのに、詞ができたのは最後だった(笑)。「夏の曲だからいつでも書ける」と余裕でいたら、まったく書けなかった...。
そんな時に堂島君の『さよならアンナ』の詞が届いて、僕は結構目からウロコだった。彼のさらりとしていてキュンとするような表現って最近の僕にはなかったもので、詞に対する視野が広がって、そこから一気にこの曲の詞を完成させたのを覚えてる。
イメージは、中学の頃遊びに行った神戸の近くの垂水って町の風景、そしてスペインや南フランス、イタリアのトリノ、ジェノバあたりの風景。垂水は本当に印象的で、坂を下った先に見える瀬戸内海は絶景だった。夕暮れの風も気持ち良かった。
余談だけど、あの頃...20年ぐらい前の夏ってホント気持ち良かった(シツコイ!)。
それと中西さんの家で聴かせてもらった、さだまさしの『風の中のライオン』っていう曲からも影響あったかも。
このアルバムは『グロリア』というロックンロールを作ってみて、もう一度大好きなポップスへの探求をしてみようと思い、曲を書いてきた。そういう意味では『オペラグラス1976』『Summer Breeze』も気持ちよく、今の自分モードで書けた曲だと思う。
○月×日
『オペラグラス1976』
僕はだいたい曲を先に書いてから詞を書く。
これはあまり効率のいいやり方じゃないし、ゆずの2人を見てると尚更「詞と曲同時が一番いいな」って思うのだが、ついついクセで曲を先に書いてしまう。メッセージを伝えるのも好きだけど、“楽曲”というスタイルも好きなので、ついついスタイルから入ってしまうのかな。
そのかわり、昔に比べて随分と曲に対する詞のイメージが早く湧くようになった。昔はもっと理屈っぽく入っていったんだけど、今は直感とひらめき勝負(笑)。結構、一筆書きのように言葉を羅列していってるかも。説明的な詞よりも、パーツを散りばめて受け手に自由に感じて欲しいって感じかな。
『オペラグラス1976』も最初に曲ができた。
アレンジをして、仕上がった曲を聴いて最初にひらめいたのは、遠い昔、夢想癖がひどかった頃の(笑)自分。
ユーリー・ガガーリンが墜落死したのは1968年頃だったはず、小学生の頃テレビでガガーリンの話をやっていてお袋が「その人地球に帰って来て飛行機事故で死んじゃったんだよ」と言っていた。そんなに印象的に覚えてたわけでもないのに、何故かその時の事がフラッシュバックしてきた。
それと『マイライフアズアドッグ』の冒頭、少年イングマルが言う「ソ連の人工衛星に乗せられて、たった一匹で宇宙をさまようライカ犬、何日分かの食料と共に宇宙に打ち上げられたライカ犬、何処に行ってしまったのだろう?」「僕は、あのライカ犬よりはまだましだ」....そんな事も浮かんできた。
寝る前にベランダに出て、夜空を見てた自分。未来がまったく見えなかった自分。何をやっても続かず、中途半端だった自分。そんな望郷と懐かしさと甘酸っぱさがこの曲にはあったので、詞も導かれるようにそういう世界になった。
『COSMOS』はどうしても“宇宙を旅した伝説の飛行士が何処かに墜ちたと母親が言っていた”で始まりたかったので(笑)、スタッフの反対を押し切ってこの曲をオープニングに持ってきた。悔やんでないぜ、ベイベー!
チョット、リンゴスターみたいなドラムは元レベッカの小田原豊さん。ベースは美久月さん、プロコルハルムのような美しいオルガンソロとピアノは中西さん、ギターは今回は僕ちゃん、がんばりました(笑)!
○月×日
『COSMOS』のタイトル
実は昔、まだプロデュースなんてものをする前に初めて“らしき”ものを以来された事があって、とある女性タレントの楽曲、アレンジ以来だったんだけど、その時に作った曲のタイトルが『コスモス』だった。その曲は結構気に入っていたのだが、結局お蔵入りになってしまった。
タイトルも花の名前っぽいし、“宇宙”を感じるし、気に入っていて、このアルバムのタイトルを考えるときにスーっと出てきた。その間、約3秒(笑)。
僕のテーマ的にも、ここ数年『素晴らしき哉、人生!』や『Beautiful Days』、『God Bless you』など、精神世界、グローバルな視点のタイトルや内容が増えてきた。でも、これは地球のベクトルが今そういう方向に向かってってるからかもしれない。例のテロの事や、高度経済成長の崩壊など、社会的な事を歌にすることだってできるけど、僕自身は「内へ」「内へ」と向かってったような気もする。うわべだけじゃなく、本当に戦争の事やテロの事を入り込んで書けばいいのかもしれないけど。
マーヴィン・ゲイの『What's Going on』はベトナム戦争に向けた反戦歌ではあるけど、「あんなダサイメッセージ歌えない」って思ってる現代の若者はそういないだろう。でも『戦争を知らない子供たち』を好んで歌う若者はこの国にはいないはず。話がそれちまった。
僕が今いる“宇宙”、僕の中の“宇宙”、誰かと繋がってる“宇宙”。
今の僕のアルバムのタイトルにはピッタリだと思ってる。
ジャケットは富士山の麓の朝霧高原って所で撮りました。
昔から富士山は好きだし、何かと縁がある。アルバム『GOLDEN CIRCLE』や『悲しいほど青く...』も富士山だった!
そして、予報では雨だったのに撮影の数時間だけは晴天!みんな、「晴れ男!」と呼んでくれ(笑)!
沈んでゆく夕陽がまさに『COSMOS』って感じで切ない感じだったなー。
○月×日
『COSMOS』はじめました
来週いよいよ僕のアルバムが出るぞぇ(古い)。
不思議なのは、今がデビューしたての気持ちがするって事。
普通はバンドを始めて、ライブハウスを経て、スタイルを確立してやっとデビュー!って感じだが、僕の場合特殊というか、ライブハウス時代っていうのも経験してなければ、ベースの経験もなかったし、曲もろくろく書いてなかった。そんな僕が、それから試行錯誤の嵐、たくさんの無駄使いをして(笑)、色んな事を覚え始めて、なんとかここまで何故かやってきてる。これは神様に意味があってここまで生かされてきたのかな?とさえ思う。
ここまで投資してくた(笑)スタッフや、応援してくれた人達の支えも勿論一番大きい。
バンドを辞めて、ポップスの服やロックの服や色んなスタイルの服を無理矢理がんばって着てみた。かなりの背伸びの格好をしてきたけど、やっとここ最近そういう服達が体に馴染んできた気がする。そして“寺岡呼人サウンド”“寺岡呼人スタイル”がやっと確立されてきたかな?って思う。
そんな僕のニューアルバム『COSMOS』。制作期間は“そーとー”短かかったんだけど(笑)、でもかえって集中してできたと思う。何でも前向きに考えればいい方向にいくものだ。そして色んな人達が参加してくれてるんだけど、それもとても自然な成り行きで“企画!”って感じがしないのも、GCのお陰だと思う。
さて、その『COSMOS』のセルフライナーをロングでやっていこうと思うので(予定では)お楽しみに!
○月×日
『次男論』『23才論』
今日は朝から雨。
沖縄はもう梅雨入りしたんだって!
将来沖縄に住んでもいいなと思ってるオレとしては悩むトコだな、こんなに早い梅雨入りは。
そういえば小堺さんがテレビで言ってたんだけど、欽ちゃんが初めて小堺さんに会った時に「君いくつ?」って聞かれて「25です」って答えたら「人間は25までしか吸収できないの。君大変だね」って言われたんだって。これでオレの“23才論”が立証された事になった(笑)。
常々「23才までに聴いた音楽しか体に入ってこない」って言ってきたからね。さすが欽ちゃん!
考えてみればバンドやめたの25だし、23ぐらいから曲作ったり、ソロ活動やってきたなー。
いずれ『次男論』『23才論』で本出すか!
○月×日
ライブな夜
昨夜、クラブに清志郎さんを観に行った。
そこにはベンジーも出ていた。
まず、ベンジー。
いきなり『ガソリンの揺れ方』だ!場内は興奮のるつぼ!2曲目からしばらく新曲らしきものが続いて、『スカンク』『ロメオ』でまたまた大盛り上がり!しかし、ブランキーの曲をやればやるほど、「何で照井君や達也君がいないんだ?」という矛盾も感じる。でも、何年か経った後「浅井健一の作品」として残って行くことを考えれば何でもない事なのかもしれない。とにかく、相変わらず凄いオーラが漂っていた。
で、清志郎さん。
あまり詳しくは書かないけど、結論から言うとブッたまげた!
パンク風(?)にアレンジされた決して完成されていないアマチュアバンドのような『雨上がりの夜空に』のリアリティー!
そこには2002年の『雨上がりの夜空に』があり、RCを絶対知らないような若者がまるで最近のメロコアバンドでも観てるように騒ぎまくっている。ラフィータフィーも決して悪くなかったけど、この日の清志郎さんを観るとただの“ベテラングループ”って思えるぐらい若々しかった!
清志郎さんの年のとり方は“陽”って感じ。参りました!
僕の好きなマイルス・デイビスもそうだけど、ミュージシャンって常に共演者によって刺激され、進化し続けていくものなのかもしれない。それはレコーディングも大事だけど、よりライブによって、もたらされるものなのかもしれない。清志郎さんがRCじゃない『雨上がりの夜空に』を歌っても何の違和感もないように、ベンジーもやがてブランキー時代の曲が何の違和感もなくなってくるのかもしれないね。
そのライブが終わって行った店にタミオっちがいた。
これまた久しぶりだったんだけど、彼もライブの帰りだったみたいで、大勢(といっても2人くらい?)のミュージシャンがまわりにいた。
そういう光景を見ていても、人と何かを作って、繋がって、刺激され、進化して、その後にみんなで飲む!
これが実はかなり重要なんだと再認識した一夜だった。
○月×日
ミッドナイトバトル
雨が気持ちよくって、窓を開けて雨の音を聴きながら過ごす真夜中2時。
「このまま起きて代表戦をみるべきだ!」
「いや、せっかく続いてる朝型生活を壊すべきではない!」
というデビルよっひーと、エンジェルよっひーが今争っている(笑)。
「明日再放送もある。俊輔はでない、西沢も出ない、柳沢も出ない、ジダン、ロベカルもでない。ならばいいじゃん?」
「いや、サントスが出る、山下も出るかも、フィーゴは出るらしいぞ」
そんな争いの中、もう眠くなって来た..........。
zzzzzz........。
○月×日
『GWとの遭遇』?
GWに出かける人の気が知れない。
と思いつつ、GWに関係なく生きてきたからかもしれない。
でも、あの渋滞の映像をテレビで観るたびにぞっとする。
なので、GWは毎日散歩して、毎日ビデオ観て、映画も1日観たぞ!
つまり、東京でのんびり過ごしたわけだ。
これがしたかった!この日常的な営み(笑)。
映画は『ビューティフル・マインド』を観た。
ラッセル・クロウのファンなので、楽しみにしてた。「アカデミー!」って騒がれてたからどんな作品だろうと思っていたが、テーマ的にはアカデミー賞好みの内容だけど、作品的には「これは凄い!」って唸らせるほどじゃないと思った。ラッセル・クロウは上手いし、ジェニファー・コネリーもキレイだった。しかし監督ロン・ハワードが巧すぎるっていうか、作為的っていうか、「僕上手いでしょ?」って感じの演出がどうも...。オレは彼の『アポロ13』でも入り込めなかったクチだからね。
あのラッセル・クロウの役をケヴィン・スペイシーがやったら面白かった気がするな。かなり!
でも「チケット代返せ!」って映画じゃなかったし、何より映画館に行って映画を観るのが楽しかったからいいんだ!
家でのビデオは『踊る大捜査線』を全部観たあと、『踊る大捜査線-The Movie』を観て、出たばかりのDVD『未知との遭遇』を観た!!
『未知との遭遇』はやっぱ最高だった!
今見てびっくりするのは25年ぐらい前の映画なのに、新作のような画面のキレイさ!これはかなり当時撮影に気を使ったんだろう。
そして、スピルバーグの演出はある意味“一芸”っていうのも気づいた(笑)。
それは、目的の物体をなかなか見せない、じらす感じとか、大袈裟さとか、『ジョーズ』から『ジュラシックパーク』まで同じじゃん!と思った。オレはそういうワンパターンな感じ大好きだけどね。「よ、待ってました!」みたいなノリ。でも『未知との遭遇』は大傑作だった。
○月×日
after the 探偵物語
すき焼き食べたい。
気にしないでくれ(笑)。
峰隆太は息子に「プライドを捨てるプライドを持て」と言ったらしいが(笑)、名言かも。
彼は『探偵物語』なんかにも出ていて、そんな彼がバラエティーでニヤニヤしてんのを見ると「優作が笑ってんぞ!」と情けない気持ちになっていたものだが、少し見直した!『探偵物語』に出ていて今でも出るとハッとするのが、まず石橋蓮司。
彼はまー色んな役をやってるから三枚目をやっていてもあんまし裏切られない。
次に、倍賞美津子、風吹ジュン。
この二人は驚くほど印象が変わっていない。特に風吹ジュン!今もってカワイイ。
おいおい!ってなるのが中尾彬か(笑)。
「能書きはいい」って言ってるばやいか?しかし25話『ポリス番外地』での中尾は渋い!怖い!
そういう意味じゃあんまし変わってないし、うまい生き残り方をしてるのかなー。あーいう風なキャラクターは今ドラマには必要とされてないもんな。でも田中邦衛のように同じキャラクターで押し通す人がオレは好きだ!時間は掛かるし、日本人は飽きやすい性格だけど。
微妙なのが水谷豊、古尾谷雅人あたりか。
水谷豊は本当にカッコ良かったし、ギラギラしてた。そして優作とも親友だったみたい。でも今の彼を生かすフィールドがないような気がする。同じく古尾谷雅人も80年代のカッコイイ人って感じのままか?でもいつか彼らの時代が来ると思うので(意外と早く!)、くれぐれも峰化、中尾化はしないように(笑)。
面白いところでは佐藤蛾次郎、柄本明。
特に柄本明は当時ほとんど無名で、最終回『ダウンタウンブルース』の中で榎本扮する珈琲屋の店員に優作が「いつもとブレンドの比率が違うだろ?」と怒られる役(笑)。当時水谷豊は『熱中時代』で大ブレイク中。今は刑事もので活躍してるけど、居場所がない感じ。榎本明は今や日本屈指の役者になってんだから人生わからない。
最後に後に奥さんになる熊谷美由紀。
女優に復帰した彼女をテレビで見るとき、何とも言えない気持ちで見てしまう。
第一話『聖女が街にやってきた』の当時17才だった彼女、もう息子が俳優をやってるという彼女。
彼女には優作がしっかりと宿っている!