ロンググッドバイ
私立探偵呼人の事件簿
2002.6月号
○月×日
ユズモラス千秋楽
随分前になるけど、ゆずのツアーの最終日に行った。
僕としては、初めての渋谷公会堂以来の感動があった。
彼らとはもう5年のつきあいになるけど、何度もライブを観てきてるので、そうそうは新鮮な感覚でライブを観ることは少なくなって来てる。それは彼らも一緒だとはおもうけど、初めての路上、初めてのライブハウス、初めての公園通り劇場、初めての体育館....。初めてっていうのはいつだって新鮮なもの。それをいつもいつも体現する事は不可能だし、難しいし、みんなそうやって鮮度を失っていくんだと思う。
そういう意味からしても、今回のツアーは僕に驚くほどの新鮮さを与えてくれた。
どの曲も力強く、アルバムの曲がちゃんと昇華されていて、無駄な場面が一切なく、観ていて飽きなかった。
あと、岩沢君の両親ともダチになったし(笑)。
近田春夫という人が、週刊誌に『恋の歌謡日』の事を「ふざけさが足りない」みたいな事をわざわざ3行ぐらい書いていた。
彼にこの日のライブを観せたかった。
いずれにしても机上の論理は恐ろしいと思ったし、僕はああいう仕事でお金を稼ぎたくないと思った。
W杯中、ロングを書いていなかったが(リハがね、リハが忙しくて...)、『スパイダーマン』も観にいった。
面白かった!子供の時に観に行きたかった!
○月×日
マジェスティック
昨日はジムキャリーの『マジェスティック』を観に行った。
監督は『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』のフランク・ダラボン。
本当にいい時代だったんだなーって思うのは、戦後の1950年代あたりのアメリカのいい意味での“村社会”。村の人が全員顔見知り、噂話もすぐ伝わり、プライベートもないような、それでいて、喜びも悲しみも全員で分かち合う社会がそこにあって、「羨ましい!」と思ってしまった。
『大草原の小さな家』の世界が洗練されたような1950年代ってホントアメリカの頂点だったんだろうな。
レストランも車も50'Sでお洒落だし、ファッションもいい、ヒロインの女性はモロ、グレースケリーだった。
『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』を観て来た目で観ると、どうしても比べてしまうけど、間違いなく名作だと思う!
後、カンケーないけど最近久々に『もののけ姫』を観たんだけど、イノシシの群れが山肌に死体の山になって重なりあってるシーンはクロサワの『影武者』からの影響なんじゃないかなー。しかも殺戮シーンを見せない所とかね。
○月×日
ライブ後
ライブも終わり、昨日は一日中ボケーっとしてた。
朝ご飯(かなり遅い...)を食べて、下北に買い物に出かけた。
19才の頃住んでた下北のアパートの前を久々に通ったのだが、もうその変貌ぶりに驚いた。
アパート自体がなくなって、マンションになってたのは知っていたけど、そのまわりの環境があまりにも変わってたのに驚いたのだ。
僕が住んでたのは北口だが、ここ数年南口は行っても、北口は殆ど行ったことがなかった。駅前の商店街は開発予定で壊されるみたいだし、“カフェもどき”が案の定、乱立してたし、とにかく僕が住んでた頃は北口は住宅街って感じだったのに、今や店、店、店、店、店!
それでも、当時からあった店や、後輩が住んでたアパートを見るとホッとした。
浦島太郎までは行かないけど、ここ数年でまた大きく変わってしまうんだろうなー。
そして、これまた数年ぶりに下北でパチンコをして帰った。
当然負けた。
○月×日
ジョイント in OSAKA
大阪から帰ってきた。
スナッパーズとのジョイント(今時ジョイントとは言わないのかな?カップリング?)、楽しかったな。
いつもは7時位になると「本番5分前です」って言われてスタンバイするのだが、今回は先にスナッパーズが出ていって演奏を始めて、その間楽屋にいたり、袖に行って観たり、何か新鮮だった。またやりたいなージョイント!来年はジョイントツアーだ(笑)!
スナッパーズみたいに、同期じゃなくて、少し下の世代と一緒にまわりたいな。
じゃないと何か、タイガースとテンプターズの誰かが廻っても、なんか同窓会っぽくなりそうだから(ってもメチャメチャ同期とやったりして!)。とにかくラジオにしてもゲストが来るとテンションが上がる僕としては(笑)、ライブにおいてもガンガンと他流試合をしたいな、と。
ただ、そればっかに頼りすぎると、新鮮さを履き違える事にもなりかねないので、というか僕はすぐ履き違えるタイプなので、ジョイントはジョイント。ソロはソロでちゃんとライブやんないと...。調子に乗って、いつも“いき”すぎるヨヒとしてはね。
それにしても、スナッパーズと出会ってもう6年?早いなー。ついこの間のような気がする。
打ち上げで、ドラムの藤崎君が、彼は『ブランニュージェネレーション』のプロモでドラムを叩いてくれてるんだけど、あの撮影で謙二や金ヤンにも会ってるんだけど、やっとまともに会話ができたようで「藤井さんてホントはフランクな人なんですね」と言っていた。さすが広島人同志。
とにかく、お疲れさま!またジョイントしよう!
京都に寄ってラジオを収録した後、東京に帰ってゆずの二人とご飯を食べてたら、偶然中西さん夫妻が通りからオレを見つけたらしく、合流。世の中狭〜〜〜い。
○月×日
YOHA!(余波)日本惨敗編?
昨日の韓国戦を観て思った。
もし、日本がいつか滅びるとしたら、この韓国のような“熱さ”“気持ち”“情熱”がないからだろうと。
戦争はよくない事だ。争う事はよくない事だ。でも、かつてこの国にもあんな韓国のような“熱さ”があって、この国の人達にもあんな“情熱”が存在したんだろうか?“白ける事”がカッコイイとされたのは、いつからなんだ?
小学生の頃、クラスで何か熱い事をやろうとする奴は変人扱いされた。多分今でもそうだ。
いつかこの“白け”がこの国を腐らせる、いやもう、かなり腐り始めてるかもね。
今韓国の人達は恍惚として、幸せの絶頂だろう。羨ましい!
それでも、日本が“それなり”に一つになったのは光明だったかもしれない。
それもまー、ワイドショー的かもしれないけどね。
さて、明日から大阪だ!
久しぶりのライブ。たった2回だけだから、楽しんじゃうぞ!
○月×日
YOHA!(余波)
執筆疲れ(笑)。
そしてワールドカップ!で、ロングの更新はここで大きくストップすることは間違いないだろう(笑)。
思えば小学生の頃、ワールドカップは真夜中に衛星中継されてる、遠い国の遠い競技っていうイメージだった。ごく一部のサッカーファンの同級生が、がんばって徹夜して次の日に話題にするぐらいだった。ビデオデッキも金持ちしか持ってない時代だったしね。
それが今や日本で!しかもこんなに国中が大騒ぎ!時代は変わったね〜。
しかし、ベルギー戦は興奮したなー。
家でけーすけや金ヤンたちと観たんだけど、もうゴールの度に全員で大騒ぎ!
もう、試合が終わったらクタクタだった(笑)。
イヤー勝ち点「1」なんて、普通に感じるのは4年前じゃ考えられない事だし、素直に喜ぼう!
あ、今から整体に行かねば(笑)。
○月×日
『COSMOS』
この最後の曲の前に一言。
「やったー!これで終わるぅー!」パチパチパチパチ....。
この曲はゆずのレコーディングの合間にスタジオにあったピアノで遊んでて、「これいいなー」と思い、そのまま作った曲。
確か始めにサビができたような...いや最初の部分だったか....忘れた(笑)。でも、いずれにしてもその日のうちに原型は出来上がった。“鉄は熱いうちに打とう”と思い、珍しくその日家に帰って歌詞を考えてみた。しかし睡魔が(笑)。がんばって、ノートになぐり書きしたのが頭の“僕等は夜明けの大地に腰を降ろして朝を待ってる”の部分。イメージとしてはアリゾナあたりの荒涼した大地に冷たい風が吹いていて、そこで夜明けを待ってる感じ。
朝起きてみると、その部分は作ったメロディーとは合ってなかったので、歌詞を優先してメロディーの方を変えた。こういうのは結構珍しい。この頭の部分はこの歌詞以外考えられないという感じになり、その言葉によってメロディーも変わったって事になる。
で、時間は少し空いて、アルバムの曲作りの時期にもう一度詰めて、詞を書こうと思ってもう一度ノートを見てみるとサビの部分のスケッチも書いてあった(笑)。睡魔の中ですっかり忘れていたがイメージはその時にすっかり出来上がってた事になる。
この曲は初期のユーミンみたいに、バラードで終わるアルバムにしたかったので、レコーディングメンバーも『さよならアンナ』の時と同様、林立夫さんにドラムを叩いてもらった。そして、静かに夜明けがやってきて、輪廻のような壮大なスケールを出す為に大きめの編成のストリングスを入れた。
今までトータルアルバムとかコンセプトアルバムって意識でレコーディングした事はないし、あまり好きじゃなかった方だけど、今回のアルバムは無意識のうちに“輪廻”のような、言い換えれば“サークル”のような、更に言い換えれば“ゴールデンサークル”というムードを意識してレコーディングしていったような気がする。だからこそ最後はこの曲で終わらないといけないし、その後また『オペラグラス』に戻っていくアルバムだったのだ。
ここへきてやっと“やりたい音”と“出る音”が繋がってきた。
『COSMOS』はそんな僕のスタートとなる愛すべきアルバムになりそうだ。
チャボさん、僕のロックンロールの旅はまだまだ続いていきそうです!
○月×日
『Theme of Golden Circle』
“Golden Circle”というイベントをやる事になって、何か興奮して一気に作った記憶があるな。
何かにつき動かされて、何かにドキドキして、一晩のうちに出来上がった曲って、本当に名曲!っていうか飽きない曲が多い。
リリースの為じゃない。これからやろうとしてる未知のイベントの為に、ファンファーレのような曲を作りたい!そういう思いで作ったんだけど、わざわざコンピューターでデモテープを作って、それからバンドのみんなに聴かせた。勿論反応はないんだけど(笑)。
そういう、ファンファーレのようなイメージはレコーディングするにあたって、もっと音の方はドラマチックにしたかった。『ジャングル大帝』、富田勲みたいな(笑)。曲的には80年代のお洒落な感じだけど、“涙が溢れるのはなぜだ?”というフレーズから始まるように、詞の方は少しメッセージ性を持たせたかった。
カーティス・メイフィールドみたいにライブはソリッドに、レコードではドラマチックにできればな、と。
レコーディングメンバーは、黄金の山下達郎バンドの面々!
ドラムに青山純さん、ベースが伊藤広紀さん、キーボードが難波弘之さん、もう大御所過ぎて会話できなかった(笑)。
達郎さんのツアーの前々日だったので、アンサンブルはさすが!だった。
「オレこういう曲、やっぱ好きだなー」って改めて思えたし、この曲でアルバムの可能性が広がったと思う。
○月×日
『OVER THT FUTURE!』
この曲こそが色んな意味で『COSMOS』の出発点になったと思う。
スナッパーズとは去年の8月のGCで久しぶりに再会して、今年の2月のGCでまた出てもらう事になった時に「何か曲を作ろうよ!」って事になり、藤崎くんにデモを送ったのが始まりだった。8月のGCではあまり会話もできなかったけど、あの再会がなかったらこの共作もなかったので、イベントを続けてきたからこそのセッションだった。実は最初はまったく違う曲を書いて渡していた。それで戻ってきた詞がいいから『アイラブユー』ができたけんだけど、残りの詞も良くて、「よじ登ったフェンス」とか「友達と描いた未来の地図」とか“青臭い”感じが「これは“ティーンエイジブルース”だ!」だと盛り上がり、これを元にまたまた曲を書き直して彼に送って、その後少し書き直してできたのが『OVER THT FUTURE!』。
最初のタイトルはやはり『TEENAGE BLUES』(笑)。
ロックンロールやパンクってティーンエイジャーだけのものじゃない。大人になってもロックンロールができることはカッコイイことだ。
でも、リアリティーのないロックンロールやパンクは只の“懐メロ”にすぎないと思う。
「じゃー等身大のロックンロールって何だ?」っていうジレンマに陥ることもある。
でも今回みんなでこの曲を作ってみて「理屈なく気持ちのいいシャウトができる曲ができれば、それが“ロックンロール”なんじゃないかな」と思った。それは“ジュンスカ世代”のスナッパーズのみんなやゆず、さらにその下のバンジージャンプの町田君と一緒に“一点の曇りもなく”シャウトできたからだと思う。
この曲で50や60才になっても、みんなとシャウトできるかもしれない。
“TEENAGE BLUES! OVER THT FUTURE!”と!