ロンググッドバイ
私立探偵呼人の事件簿
2003.9月号
○月×日
映画三昧の日々
『こころ』が終わった。
いやー、良かった良かった!ハマッたのは最近だが、こんなにちゃんとドラマを観たのは久しぶりだったな。
しかし、寺尾聡の演技は最高だね。竜雷太も良かった。浅草に行きたくなった(笑)。
ブレスの連載で『クジラの島の少女』を観たんだけど、良かった!
『たそがれ清衛兵』と並ぶ、今年のベスト映画だ。
舞台はニュージーランド。マオリ族という部族の物語だけど、とにかく最高のファンタジー映画。
この映画を観ていて、僕のイメージでのニュージーランドは、イギリス領の白人の国。でも考えてみればイギリス人が侵略したのはせいぜい2〜300年ぐらい前で、その前はずっと古い歴史があって、マオリ族のような人達が大勢暮らしてたんだ。オーストラリアのアボリジニは有名だけど、マオリ族は全然知らなかった。昔、ジュンスカの時に撮影でニュージーランドに行った事あるけど、綺麗な西洋風の街並と白人社会っていう記憶しかない。
でもこの映画は別に白人VSマオリ族っていう映画でもなければ、環境や人権の映画でもない。新天地を求める勇者がクジラに助けられ、そのクジラにまたがって、たどり着いたという伝説が残る村の話。そして、その後継者の少女が主人公。う〜ん、思い出しただけでもジ〜ンとくる。
あと、マオリ族というのは、ハワイなどのミクロネシアの人達と顔が似てる。もっと言えば日本人にも似てる。ネイティブアメリカンにも似てる。太平洋を中心として、太古の人達はゆっくりと大移動して、今の土地に落ち着いたのかもしれない。スケールの大きい話だけど、マオリ族の人達を観てると、そんな気がした。
そして、久しぶりに『七人の侍』を観た。
しかし、何度観ても“最高”という言葉しか浮かばない。
これが、本当に50年前の映画?しかも日本映画?と開いた口が塞がらない。
今回、驚いたのは菊千代を演じた三船敏郎は当時34才だった!泥だらけの村で暴れまくり、ギラギラした目つきで吠えまくり、お尻を丸出しにしながら死んでいった菊千代が34才。まだまだ老け込んでる歳じゃないんだ!って勇気をもらった(笑)。
しかし、DVDでは字幕付きで観られるので(笑)、今まで聞き取りにくかった言葉も分かって最高!
○月×日
ロックンロールドリーム
DVDで『あの頃ペニーレインと』を観た。
1970年代初期、15才の少年がひょんな事からロック雑誌『ローリングストーン誌』の記事を書くことになる物語。
あるバンドのライブを観に行った時、メンバーに気に入られ、楽屋に入れてもらい、そのままツアーに同行しながら、“15才”という事実を隠しながら、『ローリングストーン誌』の編集者とやりとりして、そのバンドの記事を書こうとする。そして、そのバンドのグルーピーの女の子、“ペニーレイン”と知り合う。
そのバンドの人気が出始めた頃、やり手のマネージャーが登場したり、ゆく先々のホテルにデビットボウイやツェッペリンなどが宿泊していて(勿論映らないが)、当時のアメリカ、いや世界におけるロックンロールの立場、影響力がよく分かる。
この映画を見終わった時、「ロックンロールが夢を持ってた時代は30年前に終わってたのかもしれない」と思った。
この映画の監督は実際『ローリングストーン誌』の記者だったキャメロンクロウ。彼自身がロックンロールへの郷愁というか、レクイエムというか、“ロックンロール版『スタンドバイミー』”を作ろうとしたのかなと思った。その象徴としてのペニーレイン。
チャボさんがよく歌う“ロックンロール”への純粋な気持ちっていうのは、こういうのを体現した人じゃないと分からない部分もあるのかもしれない。そういう意味じゃ悔しいし、そういう時代を経験してみたかったと思った。
バンドで買ったバスで移動したり、コンサート会場の雰囲気、ホテルでの大騒ぎ、こういうのは実際現場を知ってるキャメロンクロウならではの表現だとは思うけど、車で移動したり、盛り上がるコンサートだったり、ホテルで騒ぐ事は、今でもあるし、変わりないのかもしれないけど、それに加えて“時代”というマジックがもの凄い勢いで“後押し”してる感じがある。そこが決定的に違う所だ。それら全てに夢を感じるし、本気で「ロックンロールで世界を変えられる!」と思えた時代だったんじゃないかな。
一番印象的なのは、喧嘩して険悪なムードのバンドが、移動のバスの中で誰ともなく『Tiny dancer』を歌い始めて、それが大合唱になっていくシーン。そこに“ロックンロールドリーム”をどうしようもなく感じ、あの時代を象徴してるような気がした。
少年が記事を書くきっかけになった、地元のDJ兼ライター(『レッドドラゴン』で焼かれるライター!ここでもライターだ)が、最初に「もうロックンロールは断末魔の悲鳴を上げてる」みたいな事を言ってて、「間もなく商業主義の奴等に蝕まれて終わりさ」と言い、その台詞が新しいマネージャーが登場した時にフラッシュバックするのだが、それが悪いとはまったく思ってないが、夢がなくなって行くことと無関係ではない気がする。
どんな形でもいいからロックンロールを夢に感じる時代になって欲しいな。
○月×日
『座頭市』
『座頭市』を観た。
エンドロールが終わった瞬間、会場から拍手が起きた。
日本の映画館で拍手が起きるなんて、殆ど観たことない(以前、『ダイハード3』の先行上映の時ぐらいか?)。
見終わった時に感じたのは「本当の娯楽映画ってこういう作品なんだな」って事。例えばテレビがまだ普及してない時代、映画が娯楽の中心だった頃、連日大入りの映画館では、裕次郎、旭、ジョーなどに拍手が起きたりしてた。そして時代は少し後だけど、健さんの任侠映画などを見終わった青年は、映画館出る時はみんな“健さん”になってたらしい(笑)。そういう時代といえば時代だったんだろうけど、そういう質感を持った映画があれ以来作られなかったのかもしれないっていうことを『座頭市』を観て思ってしまった。
見終わった後の僕は「ああ、この映画の世界にもっと浸っていたい」「続編を観たい」って思ったし、すっかり少年に戻って、気分は“座頭市”だった(笑)。最後の拍手は、往年の日本映画を観てきた人達からの拍手だったのかもしれない、もしかしたら若者かもしれない。いずれにしても、客にそうさせる映画を作ったビートたけしは凄いと思った。クロサワの『椿三十郎』『用心棒』は2作しか作られなかったけど、『用心棒』の冒頭、三十郎のあの肩を回しながら歩くあの後姿を見ただけで、ブルって来て「よっ待ってました!」って言いたくなるぐらいトキめいたあの感じ。『座頭市』にも、似たような匂いがある。是非シリーズ化してもらいたい!せっかく、“チャンバラ映画ってカッコイイじゃん!”って事を世界に証明してくれたんだから。
後、“めくら”“乞食”など、その時代に確かにあった言葉を普通にしゃべってるのも良かった。昔話もそうだけど、当時の表現を残酷だとか、差別とか言って風化させてしまうのは、先人達への冒涜だとさえ思えるからだ。
ああいう娯楽性を日本音楽にも欲しいものだ。
○月×日
世界柔道
気づけば夜型人間になっている。朝起きるのがつらい.....。
「早く朝型に戻さねば」と思いつつ、最近五木寛之の本に「昔人間は夜型だった」って書いてあって、「自分は未だに朝の7時に寝てるが、いたって健康だ」って書いてあって、ちょっと心が揺れた(笑)。朝型が健康の元っていう常識しか頭になかったから、この格言(?)は衝撃的だった。
最近世界柔道やってたが、じ、実は僕は柔道をやっていた過去があった(笑)。はずかしー。
小学生の3年ぐらいだったんだけど、それはそれは弱かった!体も細かったし、毎日やってた訳じゃないし、でも楽しかった。試合で遠征に行くのも、実家には車がなかったから車に乗るだけでも楽しかった。弱かったけど、それでも1級か2級までいったような....。
ある遠征先で、同じ歳の相手で凄く体格のいい、ルックスもいい、結構有名な選手がいて、彼に手も足も出ず、押さえ込まれて負けたんだけど、押さえ込まれながら大泣きしたのを覚えてる。試合経験も全然なかったっていうのもあるけど、“負ける”って事があんなに悔しいって事とは思わなかったんだろう。相手は自分と同じ歳なのに、なんであんなに力の差があるんだろう?と。しかし、こんな過去はずっと封印してたのに、なんで思い出したり、ここで書けるのかというと、昔ユーミンの本で最初のプロデュースをしたスタッフが「ユーミンの人生初のライブを観た時、余りにもの緊張で、ステージ上で大泣きしてた。これを観て“これだけ自意識が強い子はきっと大物になる”と思った」みたいな事を書いてて、「そうか、そういう時に泣くっつうのは悪くないんだな」とトラウマを克服できたのだ。
僕には「柔道をやっていた」という意識はまったくないし、世界柔道観ててもまったくシンパシーを感じない。っていうかオコガマシイ。
この日本伝統のスポーツを久しぶりに観て、儒教精神というか、礼の精神というか、昔だったら「ダサいスポーツ」って感じてた感覚が今は「なんて美しいスポーツなんだ!」ッテ思うし、こういう精神をもっと今の日本に再認識させてもらいたいなって思う。
○月×日
ドラマ
最近ハマってしまったものがある。
それは今更ながら『こころ』である(笑)。
もうすぐ終わるというのに、毎日観てしまう。勿論昼の再放送なんだけど(笑)、先週なんて泣いた!
寺尾聡の元へ行って花火を観る、こころと伊藤蘭....ジーン。もう終わるなんて寂しすぎ。
そして、なぎらさんもいい味出してる!江戸っ子弁があまりにも自然に聞こえるあたりはさすが。
ここ数年、テレビドラマを観るなんて事がなかったから、何か新鮮だった。
そういえば、なぎらさんと飲んだ時も『こころ』のシナリオ持って来てたなー。読ませてもらえばよかったな、チェッ。そうそう、この間なぎらさんと電話で話した時に、「最近毎日観てますよ」って言ったら「この一ヶ月で更に凄い展開になるぞ」って言ってて、思わず「どうなるんですか!」って聞いたけど、当然教えてくれなかった(笑)。
去年、一昨年ぐらいからかな、1年に1回ぐらいの割合でゆずの2人と3人だけで食事をするようになったんだけど、その食事会(?)をこの間やった。いつも同じ店でやってたんだけど、今回行ったらいっぱいだったので、焼鳥屋に行った。僕は焼酎を飲んだが瞬く間にヨッパライ(笑)、岩沢君に「お茶頼みましょうか?」と気を使わせてしまった。うーん、やはり石垣島でないと焼酎は飲めないのだろうか??
別に何を話す訳でもなく、ダラダラと喋ったりして、楽しい時間を過ごした。こうやって、何年経っても楽しい酒が飲めるっていいね。
『こころ』では、なぎらさんはいつもモト冬樹さんと一緒(笑)。
ああいう、男同士いつもつるんでる感じって格好悪くてカッコイイ。